相続税対策としての不動産購入 国税庁の動きとは 平成29年判例をみる
相続税対策として不動産の購入を検討している、または銀行などから購入を勧められたというお話はよく耳にしますね。
実際に、相続税対策としてタワーマンションを購入する手法というのはとても有効な方法でした。
どう有効であるのか、あったのかを探る前にまず、不動産の相続税額の求め方、といったところを見ていきましょう。
不動産の相続税評価額は、土地の評価、建物の評価、の2つの評価の合計から算出されます。
土地は路線価評価から算出されますが、一般的に実際の取引価格の7~8割になることが多いです。
建物は固定資産税評価額から算出されますが、これも実際の取引価格の7割以下、時に5割、2~3割になることもあります。
なぜ、実際の取引価格の2~3割にまで固定資産税評価が圧縮されるのでしょうか。
建物の固定資産税評価額というのは、材料、建築方法、専有面積の広さ、などから算出されます。
よって、赤坂の一等地のマンションでも、孤島に建っているマンションでも、まったく同じマンションであれば、建物にかかる固定資産税評価額は同じとなります。
またタワーマンションは一戸当たりの土地の持分が小さいため、相続税評価も低くなります。
これが都心に建つ超高価格帯タワーマンションが、相続税対策に購入されてきた理由ですね。
実際、1億円のマンションを2部屋購入し、2年半後に起こった相続時に相続評価額がそれぞれ2390万、2430万という例がありました。
実際の取引価格とはかけ離れた金額で、実に驚くべき節税ですが、平成29年の判例で国税庁がこの件で勝訴し追徴課税を課す、といったことが起きています。
この際、国税庁は「相続税を免れる以外に、合理的な理由があったとしても、税の公平性を著しく害することに変わりはない」とし、不動産鑑定士を連れてきて、実際の取引価格に準じるように課税してきたそうです。
また相続税法を補強する形で定められた、「財産評価基本通達」というものがあり、その第6項にこのように書かれています。
第6項 この通達の定めによって、評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する
ま、国税庁に目をつけられたら終わり、ということです!
しかしこの件の場合、マンション購入の直前に孫を養子縁組したり、実際2年半後に相続が起き、また相続の9ヵ月後にはご遺族が相続物件を売却したりと、これで税務署に目をつけられないわけがない気もします。
税務調査は相続発生から2年後に来ることが一番多いようです。
遡って調査するのは5年前まで、といことになっております。
またこのタワーマンション節税には税務当局も厳しく対処するようになってきておりますので、安易にご購入されるのは絶対にお控えくださいませ。
しかしながら相続対策としての不動産購入は賢く、慎重にやればとても良い節税、また収益にもつながってまいりますので、ぜひお気軽に当社までご相談くださいませ。